新人看護師として働き始めると、給料面での不安や今後のキャリア形成に関する課題に直面しがちです。この記事では、看護師がダブルワークをする際のメリット・デメリットやおすすめの勤務先、注意点などについて解説します。
記事を読めば、新人看護師でも適切な判断と準備ができ、ダブルワークで失敗しません。看護師のダブルワークは、収入増加やスキルアップのチャンスとなる一方で、体力的な負担もあります。状況や目標に合わせて、慎重に検討しましょう。
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看護師がダブルワークするメリット
看護師がダブルワークをするメリットは以下のとおりです。
- 収入が増加する
- スキルアップできる
- キャリアの幅が広がる
収入が増加する
本業の給与に加えて副収入が得られるため、経済的な余裕が生まれます。貯蓄や投資の機会が増え、ローンや借金の返済も可能です。生活水準が向上し、将来の経済的な不安も軽減できます。目標に向けて必要な資金を貯めやすくなり、旅行や車の購入といった夢を叶えやすくなります。
予期せぬ出費に対する備えもでき、安心感が高まる点もメリットです。家族のサポートや子どもの教育資金の確保も可能になり、退職金や年金以外の老後資金の蓄積にも役立ちます。収入の増加は経済的な安定だけでなく、生活の質の向上や将来への投資にもつながります。
スキルアップできる
ダブルワークをすることで、看護師としてスキルアップが可能です。多様な医療現場での経験を積むことで、新しい医療技術や知識を習得できるからです。専門性を高められるだけでなく、異なる環境での対応力も身に付きます。スキルアップが期待できる項目は以下のとおりです。
- コミュニケーション能力
- マネジメントスキル
- 緊急時の対応力
- 多職種連携
- 患者ケアの幅
ダブルワークを通じて自己の強みや弱みを客観的に把握できるため、より効果的な自己成長につながります。異なる環境で働くことで新しい視点や考え方を得られ、看護師としての総合的な能力が向上します。
キャリアの幅が広がる
看護師としてキャリアの幅が広がることもダブルワークのメリットです。異なる分野や環境での経験は、看護師としての成長につながるからです。高齢者施設での仕事は、異なる年齢層の患者さんとの接し方を学べます。健診センターでの仕事は、予防医学の知識を深められます。
ダブルワークをすることで、新しい技術や知識の習得も可能です。専門分野の最新技術や医療機器の操作方法、患者さんとのコミュニケーション技術も身に付けられます。ダブルワークで得た知識や技術を活かして、管理職や専門看護師などの道が開けるかもしれません。
人脈が広がる点もダブルワークのメリットです。多くの医療従事者と知り合うことで、将来の転職や独立の際に役立つネットワークを築けます。
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看護師がダブルワークするデメリット
看護師がダブルワークをするデメリットは、以下のとおりです。
- 疲労が溜まりやすい
- 時間管理が難しい
- 法的リスクがある
疲労が溜まりやすい
新人看護師にとって、ダブルワークは疲労が溜まりやすいです。長時間労働や不規則な勤務が原因で、身体的な疲労が蓄積しやすくなります。睡眠時間が減って十分に休めなかったり、精神的なストレスが増えたりする恐れがあります。仕事とプライベートのバランスが崩れることも課題です。
過度なストレスや長期的な疲労が蓄積することで燃え尽き症候群になることもあります。集中力や判断力の低下によりミスや事故のリスクが上昇する可能性も見逃せません。免疫力の低下により病気にかかりやすくなるため、健康面でも注意が必要です。
ダブルワークによる疲労は、業務効率の低下や患者ケアの質低下につながります。十分な休息と健康管理を心がけてください。
時間管理が難しい
ダブルワークは、本業と副業のスケジュール調整が困難なため、効率的な時間配分が求められます。以下のような問題が発生する可能性があります。
- 勤務時間の重複
- 急な予定変更への対応
- 仕事と私生活のバランス
- 休息や自己啓発の時間確保
- 複数職場での勤務時間管理
睡眠時間の確保が難しくなるので、健康管理に注意しましょう。緊急時や突発的な状況への対応が複雑になるため、長期的な計画を立てるのが難しくなります。上記のような問題に対応するには、綿密な計画と柔軟な対応力が不可欠です。効率的な時間管理スキルを身に付け、ダブルワークのデメリットを最小限に抑えましょう。
法的リスクがある
看護師のダブルワークには法的リスクがあります。守秘義務違反などの問題が起こる可能性があります。考えられる法的リスクは、以下のとおりです。
- 患者の個人情報漏洩
- 利益相反
- 疲労によるミス
上記のリスクは、看護師の仕事の特性上、特に注意が必要です。医療ミスは深刻な結果を招く可能性があるため、細心の注意を払いましょう。就業規則をよく確認し、勤務時間を適切に管理することも欠かせません。患者情報の取り扱いに注意を払うことや十分な休息も意識してください。
看護師のダブルワークにおすすめの勤務先
看護師のダブルワークにおすすめの勤務先は、以下のとおりです。
- 夜勤専従アルバイト
- 高齢者向け施設
- 健診センター
- 保育園・幼稚園
- イベントナース
- ツアーナース
夜勤専従アルバイト
夜勤専従アルバイトは通常の勤務よりも高い時給が期待できるので、収入を増やしたい方におすすめです。夜間のみの勤務なので、メインの仕事や学業と両立できます。生活リズムが夜型の人は、自分のペースで働けます。病院や介護施設での需要が高いため、仕事を見つけやすい点もメリットです。
患者数が少なく、落ち着いた環境で働けるため、新人看護師にとっては貴重な経験となります。夜間特有の業務や緊急対応のスキルも身に付きます。長期休暇中に集中して働くこともできるため、スケジュールに合わせた働き方が可能です。夜型の生活リズムに慣れるまでは体調管理に注意が必要です。
十分な休息を取り、健康維持を心がけましょう。経験を積むことで、将来的に夜勤専門ナースとしてのキャリアを築けます。
高齢者向け施設
高齢者向け施設は、シフト調整がしやすい傾向にあります。希望に合わせた勤務形態を選べる場合が多く、メインの勤務先と両立しやすいです。慢性期の患者さんが多いため、急変リスクが比較的低く、ゆっくりと経験を積みながら成長できる環境です。施設によっては看護師の需要が高く、正社員よりも時給が高い場合もあります。
地域密着型の施設が多いため、通勤時間が短い可能性もあります。ワークライフバランスを重視する新人看護師にとって魅力的なポイントです。
健診センター
健診センターは、定期健康診断や人間ドックを実施する施設です。健診センターでは、働く時間を調整しやすく、短い時間での勤務が可能なこともあります。夜勤がなく日中のみの勤務なので、生活リズムを崩しにくいです。健診センターは、急性期病棟と比べると業務負荷が軽いため、比較的ストレスが少ない環境で働けます。
患者さんと長く関わる機会が少ないため、じっくりとしたケアは難しくなります。忙しさの波があり、年度始めや秋の健診シーズンは業務が立て込みやすいです。健診センターでのダブルワークは、スキルアップと収入増加を両立できます。自身の体力や時間管理能力を考慮して、無理のない範囲で取り組みましょう。
保育園・幼稚園
保育園や幼稚園での看護師の仕事は、子どもたちの健康管理が主な役割です。子どもの発達段階に応じた対応が求められます。主な業務内容は以下のとおりです。
- 子どもの健康管理
- 応急処置
- 感染症対策
- 衛生管理
保育士や幼稚園教諭と連携しながら、子どもたちの健康を守ります。勤務時間は通常8時間程度で、夜勤はありません。土日祝日が休みで、長期休暇もあるので、プライベートな時間も確保できます。比較的ストレスの少ない環境で働けるのも魅力の一つです。
イベントナース
イベントナースは、イベント会場での救護や医療サポートを行う臨時の仕事です。短期間で高収入を得られる可能性があります。音楽フェスやスポーツ大会、マラソン大会などのイベントで活躍できるので、経験の幅を広げられます。
季節や地域によって需要が変動するので、安定した収入を得にくい点はデメリットです。イベントの規模や種類によって求められるスキルが異なるため、事前の研修や準備が必要になります。イベントナースとして成功するためには、チームワークや他職種との連携が重要です。
さまざまな人と協力しながら、患者さんの安全を守る責任があります。新人看護師にとって、イベントナースは貴重な経験を積める良い機会です。通常の勤務とは異なる環境で働くことで、看護師としての視野を広げられます。
ツアーナース
ツアーナースは、旅行中の医療サポートを提供する看護師で、旅行会社や医療サポート会社に所属するのが一般的です。国内外の旅行ツアーに同行し、旅行者の健康管理や緊急時の対応を行います。ツアーナースの主な業務は、以下のとおりです。
- 旅行者の健康状態の確認と管理
- 急病や怪我への対応
- 持病のある旅行者のケア
- 医療機関との連絡調整
ツアーナースは、旅行先の文化や環境に関する知識も必要になります。柔軟性と適応力が求められるので、新しい経験を積みたい看護師におすすめです。ツアーナースになるためには、語学力(特に英語)が重要になります。海外旅行保険や旅行医学の知識があると有利です。
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季節や旅行需要によって仕事量が変動するため、安定した収入を得たい場合は、他の仕事と組み合わせる必要があります。ツアーナースは、通常の看護業務とは異なる貴重な経験ができます。異文化体験や旅行を楽しめるのも魅力の一つです。キャリアの幅を広げたい看護師におすすめです。
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看護師がダブルワークするときの注意点
看護師がダブルワークするときは、以下の注意点を押さえましょう。
- 公務員看護師はダブルワーク禁止
- 私立病院勤務の看護師は就業規則を確認
- 副業所得が年間20万円を超える場合は確定申告が必要
- 副業所得が年間20万円を超えない場合でも「住民税」の申告が必要
公務員看護師はダブルワーク禁止
公務員看護師のダブルワークは、本業への影響や利益相反の恐れがあるため、厳しく規制されています。勤務時間外や休日でも原則禁止で、違反時には懲戒処分の可能性があるため注意が必要です。退職後は規制がなくなるので、ダブルワークが可能です。
私立病院勤務の看護師は就業規則を確認
私立病院に勤務する看護師は、ダブルワークを始める前に就業規則を確認してください。多くの私立病院では、副業に関する規定が設けられているためです。就業規則を確認する際の注意点は、以下のとおりです。
- 副業の禁止
- 副業許可申請
- 勤務時間・勤務地の制限
- 利益相反
上記の確認を怠ると、思わぬトラブルに巻き込まれる可能性があります。本業への影響や守秘義務、情報漏洩リスク、過労・健康被害リスク、副業収入の報告義務についても確認します。わからないことがあれば、病院の人事部門や上司に相談してください。
副業所得が年間20万円を超える場合は確定申告が必要
副業所得が年間20万円を超える場合、確定申告が必要です。確定申告を怠ると追徴課税や加算税の対象となる可能性があります。確定申告は、翌年の2月16日から3月15日までに手続きを行う必要があります。準備として、副業の収入と経費を日頃からしっかりと記録しておくことが大切です。
確定申告は、国税庁のe-Taxを利用すると便利です。オンラインで手続きができるので時間の節約になります。不明な点がある場合は税務署や税理士に相談してください。適切に手続きを行い、トラブルを避けましょう。
副業所得が年間20万円を超えない場合でも「住民税」の申告が必要
副業所得が年間20万円以下でも住民税の申告は必要です。住民税は前年の所得に基づいて計算されるためです。住民税の申告は、1月1日から3月15日までの期間に行いましょう。申告方法は以下のとおりです。
- 市区町村の税務課や市民税課での直接申告
- オンラインでの申告(可能な自治体の場合)
申告の際は、副業の内容や収入額を正確に記載してください。申告漏れがあると、追徴課税される可能性があります。不明点がある場合は、自治体の担当窓口に相談できます。副業所得の申告は、小さな金額でも重要な義務であることを忘れずに、正確に行いましょう。
看護師がダブルワークで失敗しないためのポイント
看護師がダブルワークで失敗しないためのポイントは、以下のとおりです。
- シフトの調整と時間管理
- 健康管理とストレス対策
- 家族や周囲のサポート
シフトの調整と時間管理
シフトの調整と時間管理は、ダブルワークを成功させるための重要なポイントです。適切な管理を行うことで、仕事の両立がスムーズになります。シフトは事前に確認し、十分な休息時間を確保しましょう。タスクの優先順位を付けることや効率的な移動手段を選ぶことも時間管理に役立ちます。
スケジュール管理アプリを活用すると、無理のないスケジュールが組みやすくなります。予定通りにいかないこともあるので、余裕を持ったスケジューリングを心がけましょう。定期的にスケジュールを見直し、調整することも重要です。緊急時の対応策を準備しておくと、安心して働けます。
両方の職場との連絡体制を整えることも忘れずに行いましょう。自分の限界を知り、無理をしないことも重要です。適切な時間管理を行うことで、ダブルワークを長く続けられます。
健康管理とストレス対策
新人看護師がダブルワークを行うときは、健康管理とストレス対策が重要です。睡眠不足は疲労の蓄積につながるので、7〜8時間の睡眠を心がけましょう。夜勤がある場合は、仮眠を上手に取り入れてください。バランスの取れた食事も欠かせません。忙しい中でも、栄養バランスの良い食事を心がけることが大切です。
定期的な運動も大切です。運動不足は体力低下につながるので、空き時間を見つけて散歩やストレッチなど軽い運動を行いましょう。ストレス解消法を見つけるのもおすすめです。趣味や瞑想など、自分に合った方法を見つけましょう。ストレスを溜め込まないことが、長く働き続けるコツです。
休日にリフレッシュの時間を確保することで、仕事への意欲が高まります。家族や友人との時間を大切にすることで、ストレス解消につながります。定期的に健康診断を受診することも大切です。自分の健康状態を把握し、早めの対策を取れるからです。異常が見つかった場合は、すぐに適切な処置を受けましょう。
ワークライフバランスの維持も大切です。仕事と私生活のバランスを取ることで、精神的な安定を保てます。無理なく続けられる働き方を見つけましょう。
家族や周囲のサポート
家族や周囲のサポートは、看護師がダブルワークを成功させるために欠かせません。周りの理解と協力があれば、仕事と生活のバランスを取りやすくなります。家族に理解と協力を求め、家事や育児を分担しましょう。友人や同僚へのサポート依頼や、ベビーシッターや家事代行サービスの利用もおすすめです。
職場の上司や同僚に状況を説明し、理解を得ることも大切です。緊急時の対応策を家族と相談して決めておきましょう。地域のコミュニティや支援グループを活用したり、カウンセラーなどの専門家のサポートを受けたりすることもおすすめです。周囲のサポートを得ることでダブルワークによる負担を軽減できます。
まとめ
看護師のダブルワークには、収入増加やスキルアップなどのメリットがあります。疲労蓄積や時間管理の難しさなどのデメリットもあるので注意が必要です。おすすめの勤務先として、夜勤専従や高齢者施設、健診センターなどがあります。法的リスクを避けるため、ダブルワークを始める前に勤務先の就業規則を確認しましょう。
成功のポイントは、シフト調整や健康管理、周囲のサポートです。ダブルワークは魅力的ですが、リスクもあります。自分の状況をよく考え、よく検討してから始めるのがおすすめです。
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