- 転職したいけど自信がない
- 転職に失敗したらどうしよう
- 転職することは悪いこと?
上記のような理由で「看護師辞めたいな」と薄々感じていながらも、様々な理由で辞められない看護師は多いです。
私は公立の急性期病院、行政保健師、民間の急性期病院で看護師として勤務し、様々な理由で「看護師を辞めたい」と思うことが多々ありました。
当記事では「辞めたいけど様々な理由で辞められない看護師」に寄り添います。
この記事を読めば「看護師転職に対する不安の正体」がわかります。

「転職しよう」とする“行動”の前には「辞めたい」という“感情”があって、その根底は「人間関係や業務過多」などの“職場環境”です。
大袈裟でもなんでもなく、退職や転職は命をつなぐアクションであり、新しい働き方に出会うアクションでもあります。
転職の不安を論理的に整理する

転職する決断の前には「行動(勇気)」と「不安(知識)」の駆け引きが行われます。
「行動(勇気)」が「不安(知識)」を上回るか、「不安(余計な知識)」が緩和されることで、天秤のバランスが崩れて転職に踏み切れます。
「自信がないから転職できない…」は考え方を変える必要があります。自信がないから国家試験の勉強を重ねたはずですし、自信がないからこのブログを読んでいるはずです。つまり、自信は「行動してはじめて身に付くもの」だと理解しておく必要があります。

「自信がない」は正常である証拠です。
不安と知識は表裏一体です。転職に関する情報をたくさん調べると情報が錯綜して「うまくいかなかったらどうしよう…」という心理が働きます。転職の情報を蓄えると、「知識」が未来を予測して「勇気」と駆け引きをします。この駆け引きで天秤を「行動」傾けることが重要です。
不安を煽る情報を集めるほど行動しない方向に天秤が傾きます。この現象は、確証バイアスという心理が働いています。
- 確証バイアス
- 自分の判断や行動を正当化する情報ばかりを集めて反対の意見や指摘を無視する心理。「転職すると給料が減る」「設備機能が悪くなる」など。

心理学で不安を緩和することで行動する勇気が持てるようになります。
看護師転職の不安を分解する
転職に対する「不安を緩和する」ことで行動に移せることがわかりました。転職の「不安」の正体に着目して深掘りしていきます。
転職に対する「不安」の正体
- 給料が減ってしまう
- 人間関係の再構築
- 知識•技術が活かせなくなる
- 「前の職場の方が良かった」と後悔する
- 予想外のローカルルール
漠然とした「不安」は分解することで「課題」に変わります。上記の課題は転職した後にしか判明しません。

答えがない(わからない)ことに不安を感じるのは当然です。
「転職に失敗したらこれからの人生どうなるんだろう…」と不安に思う心理は人間は成功よりも失敗に強く反応する損失回避バイアスが影響します。
- 損失回避バイアス
- 「利益を得る喜び」よりも「損失を被る辛さ」の方が強く感じる心理。「今の職場を辞めるリスク」や「新しい職場で失敗する可能性」を過大評価してしまう。
看護師の最重要スキル「戦略的退職」

あなたは「看護師をする際に1番重要なものには何か」を真剣に考えたことはありますか?
以下の候補が上がることが多いです。
- 患者を助けたいという「原動力」
- どんな患者にも対応できる「技術」
- 解剖学、生理学のような「知識」
- 給料やボーナスといった「お金」
他にも様々な候補がありますが、全て間違いです。上記はすべてモチベーションを高めるための手段です。看護師として働く上で最も重要なのは戦略的退職です。
戦略的退職を保守的に考えない

戦略的退職は、自動車にたとえるとブレーキを踏む行動です。
ブレーキは、自分を守るためにあるものではなく、アクセルをベタ踏み(挑戦)するために備え付けられています。アクセルをベタ踏みできても、ブレーキの精度(ストレッサーへの対処)が弱いと大きな事故につながります。
- ストレッサー
- ストレスの原因となる物理的•心理的刺激のこと。職場環境や人間関係のように自分でコントロールできないものがストレスになっていることもある。
新人や若手の看護師が体調不良に陥りやすい理由は「高性能なブレーキ(ストレッサーへの対処)」が身についていないためです。
新卒で大規模な病院に就職してアクセルを踏み続けて、最初のファーストコーナー(試練)で事故を起こした場合、取り返しのつかないことになります。高性能なブレーキがが身についていないため、うつ病や適応障害などの病気に罹患する負のスパイラルに陥ります。
看護師を辞め時を誤る心理〜サンクコスト効果〜
自分に適応しなかった職場環境で永遠に就労することは得策ではないので、体調不良やメンタル崩壊といった致命傷になる前に戦略的退職する見極めは非常に重要です。
- 看護師の「仕事内容」
- 働く「環境」
- 職場の「人間関係」
- 給料やボーナスなどの「インセンティブ」
- 地域からみた職場の「評価」
「あっこの職場環境は無理だ…」と感じたら速やかに戦略的退職を考えましょう。戦略的退職は、命をつなぐアクションであり、チャンスをつなぐアクションです。戦略的退職ができないと転職をはじめとした挑戦ができません。
看護師資格を取得するために費やした多大な努力や時間が無駄になることを恐れて、看護師のキャリアを続けることを正当化しようとする心理をサンクコスト効果といいます。
- サンクコスト効果:
- 既に投入した資金、時間、努力などを惜しむために、不合理な選択をし続けること。就職活動や、人間関係の再形成が億劫になるなど。
「苦労してこの職場に入職したし…」と深く思い込み、看護師を辞めることへの抵抗感を強めてしまいます。自分に適性のある職場環境を選ぶことが重要です。
「石の上にも三年」は古い考え方〜内集団バイアス〜
大学病院や市中病院をはじめとする急性期病院の看護師は、優れているのが病院の看板やブランドであることを棚に上げて、自分たちが優れていると思い込んでしまう傾向は内集団バイアスという心理が働いています。
- 内集団バイアス
- 自分が属する病棟、同期などの集団(内集団)を患者、家族などの外部の集団(外集団)よりも優遇する心理傾向。大規模な病院のブランドを、自分達の功績と勘違いしてしまう。
クリニックの看護師でも、介護施設の看護師でも、訪問看護でも優秀な看護師は当然います。現在の職場に悩んでいる看護師は、他の職場環境をもっと知る必要があります。
日本看護協会の2023年病院看護実態調査報告書で新卒看護師の10人に1人が離職し、医労連の2022年看護職員労働実態調査報告書では5年以内に3人に1人、10年以内に2人に1人離職することが判明しています。
「石の上にも三年」ということわざの影響で、早期の退職や転職は「根性なし」や「メンタル弱い」と思われるかもしれません。一方で、「石の上にも三年」ということわざができたのは江戸時代です(諸説あり)。時代は令和なので当時と状況が大きく変化しており、根拠のないことわざの信憑性は皆無です。
看護師が働く職場環境を把握した上で、自分で自分を評価できることが大切です。「自分のできること」を探しましょう。

ヨメカンは夜勤ありの働き方が合わなかったので、夜勤なしの職場環境に転職しました。
「他人」ではなく「過去の自分」が比較対象〜メタ認知〜

「自分で自分自身を客観的に見つめること」を、心理学ではメタ認知といいます。
- メタ認知
- 「メタ」とは、いわば「高次の」という意味で、自分の行動や考え方、性格などを別の立場から見て認識する活動を指す。
「メタ」とは、いわば「高次の」という意味で、メタ認知は、自分の行動や考え方、性格などを別の立場から見て認識する活動を指します。

メタ認知は「幽体離脱して上から俯瞰する」イメージです。
メタ認知ができていない看護師は周りと比較する
他人と比較すると「あの人はうらやましいな」「どうして自分にはできないのだろう」と、嫌な気持ちになって終わってしまうことも少なくありません。「自分には絶対できないことができる人」をみると、激しく妬んだり、自己を強く否定したり、その人の足を引っ張る行動をとることもあります。
他人と比較することで承認欲求を感じる看護師は、世間に操られているのと同じです。世間の評判を意識して周りを気にする看護師は信念がないため、行動が起こせません。
他の看護師と自分を比較することは、置かれている環境次第で非常に危険な作業になり得ます。それでも、比較することでしか自分のことはわかりません。
具体的には「過去の自分」や「自分の理想像に近い人」、「時代の価値観(後述します)」と比較します。「自分の理想像に近い人」は当然他人との比較になりますが、これは「自分があこがれる人」という解釈であり、その人をみたり、思い浮かべたりするとポジティブになれる人のことです。
あこがれている人の「真似」をしたり、その人の振る舞いを自分に取り入れたりすることが大切です。繰り返しますが、ただ周りにいる他人と比較しても、嫌な気持ちで終わることが少なくありません。

「過去の自分」にだけ勝てばいいんです。
自分を「過去の自分」と比べて、明らかに良くなっていれば御の字ですし、たとえわずかな進歩であっても「昨日の自分よりはマシ」だと思れば十分です。
「成果」は比較対象にならない
「架空の人物」と比較することも有効です。架空の人物であっても、その時代の平均的な人の感情を反映した存在です。これが先述した「時代の価値観」で、自分の時代や思考と比較できます。

コード・ブルーの冴島さんにあこがれて看護師を目指した人は少なくないと思います。
利用できるものはなんでも利用して「己を知る」。
重要なのは、比較して反省するばかりではなく、自分の優れた面について考えることです。
「なぜわたしにはできないのだろう?」ではなく、「わたしならこうしてしまうのに、なぜこの人はこんな選択をしたのだろうか?」と考えます。
一方で、行動した結果の「成果」を比較のは無意味です。周りから好かれたり、経済的に豊かになっても、当の本人が心から満足を感じられなければ意味がありません。
成果はまぐれで起きる可能性があり得ますが、成果に依存すると居心地の良さが環境の変化を抑制して結果的に成果を得ることができなくなります。
自分の人生が花開く感覚は、自分が満足できる働き方や生き方をすることでしか得られません。
職場環境次第で「メタ認知」ができなくなる
己を知ろうとすることが、自分の成長につながっていきます。そのためには、やはり周りの環境の影響は大きいです。
- 自分が現在している努力で、本当に目的が達成されるのか
- 現在掲げている目的は、本当に自分がやりたいことなのか
- 周りに流されてやっているだけではないか
- 何かに洗脳されているのではないか
上記のように自問自答することで自分自身を見つめ直しましょう。看護師一人ひとりに強みが備わっていても、過度に不安を感じがちな性格、周りの環境の圧力などで潜在化してしまう看護師が一定数います。
本来であれば自分の力で訪問看護を起業してやっていけるのに、長期間同じ職場で働いてきた体験や環境のために、自分の本当の願望に気づけなかったり、職場を離れることに強い不安を感じることもあります。
一方で、クリニックや介護施設の看護師として適性があるのに「大病院の看護師こそ正義」という固定概念でお局と化してしまう看護師もいます。自分の職場環境に慣れて変化を恐れた結果、居心地が良くなってしまった看護師が招く悲劇です。

これらはすべて、自分の適性を見誤ることで起こるミスです。
「できる看護師」の本当の定義

「辞めても他に職場はある」と戦略的退職ができる看護師と、先述したサンクコスト効果が働いて「看護師になった以上後に引けない」と決死の覚悟で大規模病院で働いている看護師では心の持ち用が異なります。
あなたの考える「できる看護師」はどんな看護師ですか?
- ドクターヘリの基幹病院でフライトナースとして働く
- 救命救急センターで重篤な患者の処置を行う
- メディアで取り上げらている有名な医師の手術につく
- どんなルートでも1回で確保する
- 急変対応が迅速で的確
「あこがれの看護師」はハイリスクハイリターン
誰しもがあこがれる看護師像の大半は、大病院でしか経験できないため、価値がある一方で体力的にも辛く、ハイリスクハイリターンです。
- ハイリスク
- ・勤務が不規則で体調を崩しやすい
・急変が多く殺伐とする環境
・時間外の業務や研修参加が多い
- ハイリターン
- ・夜勤が多いので給料が多い
・大病院の知名度を活かせる
・専門的な経験を積むことができる
大病院で看護師を続けるということは、あなたの職場にいるようなお局看護師になるか、冴島さんになるかの2択です(まさにハイリスクハイリターン)。
このような看護師を「できる看護師」と定義していた人は多いはずです。
「限界看護師」はハイリスクローリターン
限界看護師の枠組みは基本的に「あこがれの看護師」と同等で、お局看護師になるか、冴島さんになるかの2択です。
転職や退職には「あこがれの看護師」と比較すると前向きですが、「できる看護師」と考え方が異なります。「限界看護師」は、転職や退職を「絶対に失敗できない」と捉えています。
現在働いている職場よりも優れている環境に転職したい欲が強過ぎて、転職するタイミングを見失い、中途半端な気持ちで働き続けることになります。
「限界看護師」になる看護師は冴島さんのように意識も高くないため、途端にお局看護師の有望株にリストアップされます。
転職の準備をしていないタイミングで、予期せぬトラブルに見舞われて退職せざるを得なくなるのも「限界看護師」の特徴です。
「できる看護師」はローリスクハイリターン

自分の職場を思い返してください。あなたが考える「できる看護師」って辞めてませんか?
「できる看護師」は、その人にとってのローリスクハイリターンの職場環境で看護師を継続したり、第二新卒として別の企業に転職しています。
- ローリスク
- ・夜勤なし
・残業なし
・緊急入院なし
- ハイリターン
- ・週休完全二日制
・ボーナス年3回
・長期休暇がとりやすい
・福利厚生の充実
・研修参加は病院負担
「できる看護師」の特徴として「いつでも辞めれます」の精神状態で働いています。
- 退職しても看護師の求人は無数にある
- 看護師の退職は日常茶飯事
- 体調不良になるより全然マシ
「できる看護師」は「看護師は転職するもの」と捉えており、良い職場環境に巡り合えるかは運とタイミングであることがわかっているので、積極的に転職します。
転職先の選び方
転職先が「理想の職場」か否かは働き出すまで分かりません。まずはたくさんある「悪くない職場」へ転職して、自分自身で「理想の職場」にしていくことが大切です。
転職で上手くいかない典型例は「自分が適応できない職能にこだわること」です。大規模病院にこだわるのではなく、小規模病院、クリニックなど自分の適応できる職場を先述したメタ認知を活用して適切に選定することが重要です。
転職先は、どの職場を選択しても基本的に正解です。
数ある選択肢の中から1回目の就職で「理想の職場に巡り会える」という考え方ではなく「どの職場に転職しても正解にすることができる」と考えることができれば、看護師に限らず多くの転職先の候補から選択できます。
まとめ
今回は「転職・退職を準備している看護師に向けたスキル」について解説しました。転職・退職を準備するだけでなく、実際に行動に起こしてより良い看護師ライフを築き上げましょう。
以下の記事では「ヨメカンが実際に利用したレバウェル看護」について解説しているので、こちらの記事も是非読んでみてください。
看護師を即日で辞めたい場合は退職代行がオススメです。以下の記事は「ヨメカンが実際に利用した退職代行モームリ」について解説しているので「今すぐ看護師辞めたい…」と考えてる看護師はぜひ利用してください。
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