看護師として働く人の中で、日々のプレッシャーやストレスに悩んでいる方は多いです。
看護師は、人命を預かる責任や精神的負担が大きい仕事です。他のキャリアを検討する方も増えています。しかし、転職の決断には不安が伴い、簡単ではありません。
本記事では、看護師から他職種へ転職する際のメリット・デメリット、おすすめの職種や転職方法について解説します。キャリアチェンジに対する不安を解消し、将来の目標を明確にするヒントを提供します。

ヨメカンの看護師から保健師に転職した経験を含めて解説します。
看護師を辞めて違う仕事に就くメリット

看護師を辞めて違う仕事に就くメリットは、以下のとおりです。
- 人間関係が変化する
- 責任感やストレスが軽減する
- 規則正しい生活を得られる

なあすタウンがコンセプトで掲げている“看護師は職場環境が10割”は、これらのメリットを得るために戦略的退職を推奨しています。
人間関係が変化する
多くの看護師は、現在の職場環境に順応して「無意識」にキャラクターを設定させられ、演じさせられています。これは印象操作や同一化といった心理が影響しています。
- 印象操作
- 他人の目を意識して自分の言動や態度を調整する心理。本心と異なるキャラクターを演じることもあり、過剰になると「偽りの自分」に対してストレスに苦しむ。

ヨメカンの職場はカーディガンの色指定がありませんが、「周りが黒を着ている」ため、黒を購入しています…
- 同一化
- 自分が属するチームや憧れの存在と心理的に一体化し、その価値観や行動を取り入れること。無意識に取り入れてしまうこともあり、過度だと「自分らしさ」を失うことがある。

プリセプターの言動が無意識に取り入れられて「せやな」が口癖になっていた時期がありました…
職場環境を変えると、これまで無意識に演じていたキャラクター設定がリセットされるため、人間関係に変化が生まれます。異なる背景を持つ同僚との接点が増え、視野が広がることは大きなメリットです。
無意識なキャラクター設定が、職場環境の世間体を考えたポジショントーク生み出していた可能性が高いため、新しい職場では、意識して自分にとって都合の良いキャラクター設定をしましょう。看護師以外の職場は当然「看護師ではない人材」が大半なので、看護師の常識や価値観が良い意味で覆されます。
看護師が働く職場は協調性が求められます。特に新人看護師においては、自分の意見を持つことすら許されない環境に置かれ、自分の感覚が麻痺していることに気が付きません。

看護師の常識が通用しない職業に転職することで、本来のキャラクターを取り戻しましょう。
責任感やストレスが軽減する

医療現場特有の「生命に直接かかわるストレスから解放される」ことは常に緊張状態でいる必要がなくなり、感染症リスク激減するため精神的負担を緩和します。
さまざまな年齢や経歴の人々と交流することで異なるチームワークや上下関係を経験したり、業務量や時間外労働の減少により、ワークライフバランスの改善が期待できます。
ストレスコーピング理論という心理学では「ワークライフバランスが改善されると日常のストレスが緩和される」とされています。
- ストレスコーピング理論
- ストレスは、不規則な勤務などの「環境要因」や家族の支援や休息などの「対処資源」のバランスによって決まるとされている。
専門知識の更新や資格維持の負担が軽減されるのも大きなメリットです。
病院収入の根源である診療報酬(看護師の給料に変換されるお金)は、2年に1回改定されます。大学病院、市中病院は多くの診療報酬を算定しているため、診療報酬の要件を満たす目的の専門知識、資格取得•維持の研修による時間外労働や休日出勤から解放されます。
職場の序列(ヒエラルキー)によるストレスも減り、自由な環境で働けます。看護師の業務は基本的に「医師の指示」が必要なので医師と看護師の間に明確な序列がうまれます。
「医師の指示」の縛りがない環境で働くことで「自分はこういうことをされると嬉しいのか!」や「こんなことをされると自分はすごく悲しくなるな…」など、自身の性格傾向を客観的に観察しやすくなります。
規則正しい生活を得られる
看護師を辞めて別の仕事をすることで、規則正しい生活が得られるのは大きなメリットです。不規則な勤務から解放され、生活の質が向上します。
チェックポイント
日本看護協会の2023年病院看護実態調査報告書における「看護管理者が考える新人看護師の退職理由」において「健康上の理由」と「夜勤の負担が大きい」の割合は併せて54%でした。
2人に1人以上が不規則な生活が要因で退職に至っています。
夜勤の負担がなくなることで不規則な生活リズムや慢性的な睡眠不足の改善が期待できるため、夜勤をきっかけとした体調不良の不安も軽減されます。
趣味や自分磨きに使う時間や、家族•友人と過ごす時間も増えて、プライベートの選択肢が広がります。
規則正しい生活はストレスの軽減につながり、長期的なライフプランも立てられます。
»看護師の離職率が高い理由と対処方法
看護師を辞めて違う仕事に就くデメリット

看護師を辞めて違う仕事に就くデメリットは、以下のとおりです。
- 給与が低下する
- 新しい環境に適応する必要がある
- スキルの活用が難しい
給与が低下する
看護師から他の職種に転職すると、給与が下がる可能性があります。看護師は経験年数や夜勤手当で給与が増えますが、他の職種では未経験者として初任給からのスタートになる場合があります。
日本看護協会2023年病院看護実態調査報告書において、新卒看護師(大卒)の初任給は約21万円(+夜勤手当等が加算されて約25万円)でした。
看護師の専門性や資格が新しい職場で評価されにくいのも、給与低下の一因です。
給与以外の待遇も悪くなる可能性があります。福利厚生や手当の減少、有給休暇の日数が少なくなる可能性があります。転職を検討する際は、事前に新しい職場での給与や待遇を調べましょう。

保健師で働いていた際は、公務員なので〇〇手当や××休暇といった福利厚生が充実していました。充実していたからこそ、体調を崩すまで退職に踏み切れませんでした。
新しい環境に適応する必要がある

新しい環境への適応は、他職種へ転職する際の大きな課題です。「転職して失敗するリスク」に強く反応してしまう心理はプロスペクト理論で説明できます。
- プロスペクト理論
- 「利益を得る喜び」よりも「損失した怖さ」を強く感じる心理。得をしたときよりも損をしたときのほうが2〜3倍重く感じてしまう。
終身雇用が事実上難しい現在社会において、若いうちに転職の経験はしておいた方が確実に有利です。年齢を重ねるほど、慣れや安定から脱却することに恐怖を覚えて行動できなくなります。
現状の職場が不満でも「確実に手に入っている今の職場の安定」を手放すのが怖くて現状維持を選択した結果、お局看護師に落ちぶれます。
医療現場から異業種へ転職する場合、以下の点に適応する必要があります。
- 職場の文化や習慣
- 業界特有の専門用語や知識
- 新しい業務スキルの習得
- 人間関係の構築
- 業務の進め方やペースの理解
変化に適応するには時間がかかりますが、自分の役割を把握し、職場のルールや規則を学びましょう。変化は新しい刺激や成長の機会です。柔軟な姿勢で臨めば、キャリアの幅を広げられます。
これまで周りは看護師であることが前提なので個性になり得なかったですが、看護師以外の職場で「看護師」という肩書きはポジティブな個性になり得ます。

価値の本質は希少価値です。看護師が少ない場所で働けば必然的に価値が高まります。
スキルの活用が難しい
スキルを活かす機会が少ない点も、看護師を辞めて別の仕事に就くデメリットです。看護師として培った知識や技術が新しい職場で直接活かせず、医療現場での経験が評価されにくいからです。新たな分野で専門性を一から習得する必要があります。
転職先を広げるためには、自分のスキルを客観的に見直し、異なる職種でどのように活かせるかを考えましょう。
「看護師資格取得までの勉強時間」「看護師の知識や技術を活かさない仕事はもったいない」といった積み重ねた努力を惜しむ心理が働くことをサンクコスト効果といいます。
- サンクコスト効果:
- 既に投入した資金、時間、努力などを惜しむために、不合理な選択をし続けること

この記事を読んでいるあなたは、少なからず看護師以外の仕事に興味があるはずです。退職の準備に時間をかけすぎた結果「何もしない」は本末転倒です。
看護師の資格や経験を活かせる仕事

看護師の資格や経験を活かせる仕事は、以下を参考にしてください。
- 医療・福祉分野
- 一般企業
医療・福祉分野
医療・福祉分野は、看護師の資格や経験を活かせる分野です。選択肢が多いため、自分に合った仕事を見つけられます。以下の職種がおすすめです。
- ナースエイド
- 医療事務
- 介護職
- 訪問看護ステーション
- クリニック受付
- 医療コーディネーター
- 教育や情報発信
以上の職種では看護師の知識や経験が役立ち、生命と直接的な距離が遠くなるため、ストレスが軽減されます。
ナースエイドを題材としたドラマ「となりのナースエイド」はスペシャルドラマの続編が決定するほど好評だったようです。

ブログも看護師の経験を生かせる分野です。
一般企業
看護師の資格や経験を活かせる一般企業の仕事は、多岐にわたります。一般企業で経験を活かせる職種は以下のとおりです。
- 医療機器メーカーの営業職
- 製薬会社の医薬情報担当者(MR)
- 医療系コールセンターのオペレーター
- 医療事務
- 保険会社の査定業務
看護師として培った知識や対人スキルが役立ちます。仕事内容次第ですが、元々働いていた職場に足を運ぶ機会があるかもしれません。

転職サイトの電話対応や、相談を看護師が行っている企業もあります。
全く違う仕事に就くときのおすすめの業種

全く違う仕事に就くときのおすすめの業種は、以下を参考にしてください。
- 企業
- IT業界
- サービス業界

「看護師」の肩書きを上手に活用できる仕事が望ましいです。
起業
看護師の経験を活かした起業も、魅力的な選択肢です。医療や健康に関する知識をもとにしたコンサルティング業や、介護用品の開発・販売が考えられます。海外での看護師経験を活かし、国際医療機関や国際協力団体で活躍する道も注目されています。語学力も活かせるため、さらなるキャリアアップが可能です。
YouTuberである関根りさ(北濱理紗)さんは、YouTube活動やコスメブランドのプロデュースを手がけておりながらも、元看護師としての発信も行っています。
転職後のキャリアアップも重要です。新しい分野でスキルを磨き、資格取得に取り組めば、さらなる成長が期待できます。
IT業界
IT業界は、看護師にとって可能性を広げる分野です。技術の進歩が速く、常に新しいスキルを学ぶ機会があります。IT業界の特徴は以下のとおりです。
- プログラミングスキルの需要が高い
- リモートワークの機会が多い
- 給与水準が比較的高い
- クリエイティブな思考が重視される
- さまざまな業界と連携している
以上の点から、IT業界は看護師にとっても魅力的な選択肢の一つです。看護師の持つ問題解決能力や細やかな配慮は、IT分野でも活かせる強みになります。

タイピングを人差し指のみで行っていた知人から「自分で開発したアプリのバグを修正しないとだから飲み会いけなくなった」と連絡が来た際は良い意味で鳥肌がたちました。
サービス業界

サービス業界は、看護師の経験を活かせる分野の一つです。患者とのコミュニケーション能力や思いやりを活かした接客ができるため、転職先として人気があります。以下は、看護師の経験を活かせるおすすめの職種です。
- 接客業
- コールセンター
- カスタマーサポート
- 美容関連
- 保育士
- 介護職
以上の職種では、看護師として培った対人スキルや気配りが役立ちます。転職を検討する際は、適性や希望する働き方を考え、慎重に選びましょう。新しい環境で成功するためには、柔軟な姿勢と学ぶ意欲が欠かせません。
看護師を辞めて違う仕事に転職する方法

看護師を辞めて違う仕事に転職する方法は、以下を参考にしてください。
- 自己分析とキャリアプランの設定
- 転職活動の準備
- 履歴書と職務経歴書の作成
- 面接対策
自己分析とキャリアプランの設定
自己分析とキャリアプランの設定は、転職活動を成功させるために重要です。自分を深く理解し、将来の目標を明確にすることで、最適な転職先を見つけられます。以下の項目を整理しながら、自己分析を進めましょう。
- 強みと弱み
- 経験や成果
- 価値観や興味
- キャリア目標
- 必要なスキルや資格
- 理想の職場環境や働き方
- 転職の動機
- 希望する業界や職種
- 自己PRポイント
- ワークライフバランスの優先順位
以上の項目を丁寧に整理すると、自分に合った転職先を見つけられます。焦らず時間をかけて取り組むことが大切です。自己分析とキャリアプランが整ったら、情報収集と転職準備に進みましょう。目標や希望に合った求人を見つけることが成功への鍵です。
転職活動の準備

転職活動を始めるには、十分な情報収集と準備が重要です。転職活動を円滑に進められます。以下の方法を参考にして進めましょう。
- 転職フェアや業界セミナーへの参加
- 転職エージェントへの相談
- SNSの活用
- 職務経歴書や履歴書の下書き作成
- 自己PR文の準備
- 志望動機の整理
転職後の生活を具体的にイメージしながら、必要な準備を進めることが大切です。現在の職場での引き継ぎや退職手続きの準備も忘れずに行いましょう。円滑な退職が望めない場合は、退職代行を活用しましょう。
履歴書と職務経歴書の作成
履歴書と職務経歴書の作成は、転職活動の成功に直結します。履歴書には氏名、住所、連絡先などの基本情報を正確に記入し、看護師としての経験や取得資格を具体的に記載しましょう。転職先の業界や職種に関連するスキルや経験を強調し、実績は具体的な数字や成果を使ってアピールすると効果的です。
志望動機や自己PRは、簡潔かつ魅力的にまとめ、転職先が求める人材像に合わせて内容を調整しましょう。誤字脱字や文法ミスを避けるため、書類は複数回見直し、読みやすいレイアウトや適切な文字サイズで、視覚的にも見やすさを意識します。
職務経歴書では、看護師としての経験を異業種でどう活かせるかを強調し、転職先に貢献できるポイントを具体的にアピールしましょう。

「転職先の業務に、看護師どの部分が落とし込めるのか」をアピールすることが重要です(営業職であれば、多くの患者と関わってきたので人見知りしないなど)。
面接対策

面接対策は、転職成功の鍵を握る重要な要素です。自分の強みを説明できるよう、看護師経験やスキルを整理し、新しい職場でどのように活かせるかを伝える準備をします。転職理由を述べる際は、明確かつ前向きな表現を心がけましょう。
看護師を辞めたいという言い方ではなく、新しい分野に挑戦したいといった姿勢をアピールすると、良い印象を与えます。看護師として新しい医療技術を学び実践してきた経験を挙げ、柔軟性や向上心をアピールすると説得力のある自己PRになります。
自己PRでは「元看護師で医療分野に精通していたこと」を存分にアピールしましょう。他人には真似できない個性を自己PRに落とし込めるとハロー効果が期待できます。
- ハロー効果
- 目立つ特徴が全体の評価に影響を与える心理。清潔感のある服装や看護師の実績などを自信を持って話すことで面接に良い影響を与えることができる。

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看護師とは違う仕事に就くときによくある質問

看護師とは違う仕事に就くときによくある質問は、以下を参考にしてください。
- 40代や50代でも転職できる?
- 看護師から異業種への転職は不利?
- 転職サイトを利用するときの注意点は?
40代や50代でも転職できる?
40代や50代でも、転職は十分可能です。年齢に関係なく、新しいキャリアに挑戦できる時代です。豊富な職務経験や人生経験は多くの企業で高く評価され、長年培った専門性や対人スキルも重宝されます。若手にはない視点や判断力も、40代・50代ならではの強みです。
体力に不安がある場合でも、工夫することで克服できます。重要なのは、柔軟性と学習意欲を持ち続け、新しい環境に適応しようとする姿勢です。近年は40代・50代向けの求人が増加しており、経験を活かせるポジションも見つけられます。
転職エージェントを活用すれば、専門家のアドバイスを受けながら、自分に合った転職先を見つけられます。
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看護師から異業種への転職は不利?

看護師から異業種への転職は、不利ではありません。看護師として培った経験やスキルは、さまざまな業界で高く評価されます。コミュニケーション能力や責任感は、どの業界でも強みです。患者や医療スタッフとのやりとりで磨かれた対人スキルは、顧客対応やチームワークにも活かせます。
看護師としての医療知識は、製薬会社や医療機器メーカーでも大きな強みになります。健康食品や保険業界でも、専門知識を持つ人材として重宝される場面が多いです。異業種への転職は、新たな視点や経験を得る機会です。看護師の経験を活かして、異なる角度から社会に貢献できます。
自分の強みを明確にし、新しい環境に適応する柔軟性を示すことが重要です。転職エージェントを活用すれば、専門家のアドバイスを受けながら、キャリアプランを立てられます。
転職サイトを利用するときの注意点は?
転職サイトを利用する際の注意点は次のとおりです。
- 個人情報の取り扱いには十分注意する
- 信頼できるサイトを選び、個人情報の管理方法を確認する
- サイトがどのように個人データを保護しているかチェックする
- 掲載された求人が最新かつ正確か確認する
- 転職サイトのサポート内容を事前に把握する
- 転職後のフォローアップ方法を確認する
- 口コミや評判など他の情報源も参考にする
以上の情報を総合的に判断し、より良い転職先を見つけましょう。
まとめ

新人看護師にとって、キャリアの選択肢を考えることは重要です。看護師から異業種への転職には、メリットとデメリットが存在します。自己分析と情報収集を十分に行うことで、転職成功の可能性を高められます。看護師として培った経験は、他業界でも高く評価される貴重なものです。
新しい分野に挑戦すると、キャリアの選択肢が広がります。自分の状況や希望に応じて、適切なキャリアプランを立てることが重要です。転職活動を段階的に進めれば、良い結果が期待できます。自分の目標や価値観に合った仕事を見つけ、長期的に充実したキャリアを築きましょう。
» 看護師を辞めたいと感じる理由と具体的な対処法
今回は「看護師以外の仕事」について解説しました。転職・退職を準備するだけでなく、実際に行動に起こしてより良い看護師ライフを築き上げましょう
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